植物誘導吹付工
植物系廃材リサイクルによる生育基盤造成手法
誘導という言葉は「自然を誘導する」という意味です。建設工事に伴い発生した伐採木、根株、せん定枝葉、並びに間伐 材、建設解体工 事の植物資材は廃棄処理することが行われてきました。この際、廃棄、焼却、輸送を行うことにより煙・有害ガス・ダイオキシンの発生など公害という形で環境問題になりクローズアップされています。
一方、燃やすことによって大気中への二酸化炭素が拡散して放出しこれが世界の温暖化防止に逆行することになります。既に植物廃材を粉砕・チップ化させ家畜の糞尿や食品副産物等を混合し堆肥化した有機質の土壌改良材として活用されています。ところが、この堆肥製造には広い製造スペースや、乾燥調整に必要な半屋内施設の必要性、混合攪拌のための装置や機械と管理する人員の必要性、近隣の水死湯汚染防止対策、材料運搬等の管理費を伴います。伐採する対象地には広いスペースがありません。さらに肥料の投入により窒素の含有も多くなるため施工後の大気中への窒素ガス放出が温暖化を助長することにもなります。
そこで、伐採作業の近隣で直接破砕を実施し、堆肥化をしないで直接のり面へ吹付ける方法を考案しました。ただし未分解の植物材料の生育基盤であるため早期緑化を目指す植生基材吹付工との比較では急速な植被率は期待できませんが、粘土鉱粉と微生物活性酵素を混合することにより着実な植被率が期待できます。このことは、成長の遅い植物群にとって光競合に左右されない環境が確保されます。また、先駆植物とともに現地の自生種との共生が有利になります。また、炭素を地表に固定することで地球温暖化防止に寄与していることで有効な手段です。
九州が開発のルーツですが現在全国へ展開が急速に進んでいます。実績は全国について平均造成厚さ5cmで166万㎡(平成20年3月)を達成しました。